先日(07/14)首都高を考察する、で私の危惧していることをお話させてもらいました。
今日は、その続きです。
仕事上の情報収集として、いろんな本を読みますが先日来、とても深刻な問題を提示されている、東京大学名誉教授 小林一輔教授の著書に注目しています。
教授は実に沢山のコンクリート構造物への警鐘を鳴らしておられますが、中でも以下の部分には特に緊急性を必要としているようなので、ここでとりあげさせていただきます。
まず、以下の部分をお読みください。
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千葉工業大学教授、東京大学名誉教授 小林一輔著 「コンクリートが危ない」
岩波新書616 ISBN4-00-430616-7 定価700円+税
68ページ〜70ページより。
床版の鉄筋が疲労破断する危険性は、列車の通過回数の積算値が増加するほど大きくなる。このために、設計では高架橋の供用期間中に鉄筋の疲労破断か生じないよう、列車荷重によって鉄筋に作用する引張り力がある一定のレベルを越えないよう制限している。
しかし、これはあくまでも、鉄筋が腐食していない場合の話である。鉄筋か腐食していると、列車の通過回数の積算値が予定した供用期間に達する前に疲労破断をおこしてしまう。
腐食によって鉄筋表層部に生じた局所的な欠陥か、鉄筋の疲労破壊を促進させるからである。いわゆる「切り欠き効果」である。
このような鉄筋表層部の局所的な欠陥の影響は、山陽新幹線高架橋のように塩分腐食をおこしている場合に受けやすい。問題なのは、これによる疲労寿命の低下を予測する手段かないことである。このことは、山陽新幹線の高架橋は列車の走行によって、ある日突然、床版が破壊するという危険にさらされていることを意味する。
疲労破壊は前触れなしにおこることを銘記すべきである。
JR西日本はすでに、高架橋の補修・補強のために200億円をこえる費用を投じていると聞く。しかし、これらはその場しのぎのもので、その効果か持続する期間は意外に短い。また、補修・補強がおこなわれても、設計時に想定された耐力が回復されたという保証はない。
山陽新幹線の高架橋区間の総延長は165Km、その約3分の2の100q分の高架橋にいちじるしい劣化がおこっているとしよう。この区間の高架橋の鉄筋コンクリート床版の総数は約二万枚である。床版が劣化する速度は、施工の質と環境によって大きく異なる。床版は劣化が進行して終局限界状態または疲労限界状態に達したときに、列車の走行荷重によって曲げ破壊をおこす。二万枚の床版の99.9%がこのような限界状態に速していなくとも安心はできない。わずか0.1%の床版(20枚、高架橋では100mに相当する)であっても、限界状態に達すれば列車の走行は危険である。
現在、JR西日本では、外観観察に重点をおいた検査体制によって高架橋の保守管理をおこなっているが、このような体制で危険を回避できるとは思えない。
このさい、山陽新幹線は、列車の走行を一時的に休止することも視野に入れて、高架橋を中心としたコンクリート構造物がどのような状態にあるのかを、徹底的に調査する必要がある。その結果にもとづいて、早急に補強工事を実施する必要があるだろう。
山陽新幹線は、JR西日本という私企業の路線であるが、わが国の高速鉄道網の一環を形成する重要な社会資本でもある。JR西日本が、財政的な面から対応が困難であるというのならば、国が対応しなければならない。他の公共事業に優先する国家プロジェクトとして取り組む必要がある。
さて、このような措置を講じたとしても、山陽新幹線のコンクリート構造物の余寿命はせいぜい15〜20年であろう。山陽新幹線よりも10年早く完成した東海道新幹線の余寿命は20年程度と考えられるが、その代替線(第二東海道新幹線またはリニア中央新幹線)の建設計画は20年以上も前から練られている。しかし、山陽新幹線の代替線の計画が話題にのぽったことはない。
すでに工事か進められている整備新幹線の一つである九州新幹線鹿児島ルートは、西鹿児島−新大阪間を約四時間に縮めることにより、阪神地域までの日帰り往復という時間短縮効果をねらっている。しかし、完成予定の20年後には、山陽新幹線の寿命は尽きている。九州新幹線は、長期間にわたって高速鉄道ネットワークから切り離された状態におかれる。この事態は、収支採算性にも影響することになろう。整備新幹線の建設を進める前に、山陽新幹線問題を解決しておく必要があるのではないだろうか。
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そんなに値段の高い本ではないし、一般向けとしてとてもわかりやすく解説されていて、どなたでもすぐに理解できるよう書かれています。
この他にもコンクリートに関わるさまざまな角度から広く問題を取り上げています。
ご興味のある方はぜひ手にとってじっくり読んで見て下さい。
首都高速も、在来道もそして新幹線さえもこんな状態です。
しかも国の借金は800兆円!!
どこに、そんな根幹的補修をするお金があるというのでしょう。
しかし、放っておいたら案外近い内にこれが現実のものとなり、「蜂の巣をつついたような」状態になるのでは、と思います。
以前、「中越地震」を体験した怖さをこのブログに書きましたが、もはや「山陽新幹線」にいたっては地震と関係なく「自己崩壊する危険性」を専門家である東大の先生が「危機感」をもって指摘されているんです。
マスコミも「耐震偽装問題」など「犯人」は誰かを探すだけでなく、さし迫ったこの問題をもっともっと大きな声で報道してもらいたいと思います。
「お笑い芸人」や「クイズ番組」もいいのですが、いま政治家と報道関係者は本来の使命をもう一度根本から考え直し、その使命を果たさなければなりません。
いま平和ボケした?日本人にはそうした危機感が足りないと思います。
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私は二年続けてJR西日本の株主総会で、この問題について質問しました。この本も読みました。
しかし、JRは今の補修方法で大丈夫と言い切りました。接着剤のような高価なセメント系の製品を橋脚の周りに充填させているだけなので、その場しのぎとしか思えません。その種の製品のカタログも取り寄せましたが、ひび割れを補修する目的のようです。JRはしばらくコンクリート片が落下さえしなければよいとの考えです。堂々と嘘をつき、正直に答えようとしないJRの体質は安全を第一にしていないものです。
とにかく、今のままではもたないということをもっと実証
私もあなた様と全く同感です。
鉄道や高速道、そしてその他の全ての道路がまさに
こんな状態だと思います。
つい先日もNHK総合テレビで「橋が危ない!」という
スペシャル番組が放送されたばかりです。
また、昨日は宮城県のほうで大変な地震災害もあり、
またまた震撼とさせられる思いが致します。
私も専門家の端くれではありますが、全く忸怩たる思いです。
どこかの国の耐震構造のいかんを言う前に、
まず足元をしっかり見てほしいと痛切に感じます。
でも、今の日本の政治家の虚栄心、日本の落ちた経済力、
官と民との強固な癒着、道路族と特殊法人など等・・・。
どうみてもクライシスまっしぐら、としか
私には思えません。
2008/6/15 18:51